（2025年6月23日付、科学・イノベーション・技術省（DSIT）、Peter Kyle大臣による標記発表の概要は以下のとおり）

ピーター・カイルDSIT大臣は6月23日、量子コンピュータによる革新的な医薬品の創出や、次世代モバイル端末を支える半導体など、将来の技術を担う英国発のイノベーションと企業スケールアップを後押しするために、総額10億ポンドを超える支援策を発表した。

今回の投資は、健康や環境分野における画期的な発見をもたらす可能性を秘めた国家的ミッションとしての量子コンピュータ開発、企業の成長支援に特化した英国半導体センターの新設、そして新たなワクチンから環境配慮型燃料に至るまでの幅広い課題に取り組む工学生物学分野の研究者への重点的な支援が含まれる。

これらを包括する施策パッケージは、同日発表された英国の新たな産業戦略（Modern Industrial Strategy）の一部であるデジタル・テクノロジーセクターの計画（Digital and Technologies Sector Plan）に基づいており、産業再興と経済成長を目指す政府の「変化に向けた計画（Plan for Change）」を具体化するものである。関連の主な取り組みは以下のとおり：

■　量子コンピューティング
量子コンピューティングの応用を加速させるため、総額6億7,000万ポンドを投資。これにより、国立量子コンピューティングセンター（National Quantum Computing Centre）は10年間にわたる安定的な資金提供を受ける初の組織の一つとなる。

■　工学的生物学
3億8,000万ポンドの投資で工学的生物学分野における研究・産業基盤の強化を図り、新規ワクチン、細胞培養肉、気候変動耐性作物など、人命や環境に深く関わる先端テーマに取り組む研究者を支援。うち1億8,400万ポンドは、研究成果の商業化に向けたインフラ整備に、1億9,600万ポンドは国家工学生物学プログラム（National Engineering Biology Programme）を通じた研究開発支援に充てられる。

■　世界最高水準の人材招聘
科学技術分野で世界最高水準の人材を英国に招聘するため5,400万ポンドを投じ、「グローバル人材タスクフォース」も設置。

■　半導体産業の強化
英国の半導体分野を国際競争の中で強化するため、最大1,900万ポンドを投じて英国半導体センター（UK Semiconductor Centre）を新設。同センターは、国内企業と海外の企業・政府機関との接点となり、グローバルサプライチェーンにおける英国の役割強化、企業支援、国際連携を促進する。

■　半導体人材の育成強化
半導体人材拡大プログラム（Semiconductor Talent Expansion Programme）に3,500万ポンドを投資。新たなチップ設計講座の導入、奨学金制度、中等教育段階からのアウトリーチ活動、異分野からの進路変更に対応した修士課程の開設などにより、半導体セクターへの人材供給を支援する。

■　高度通信技術と安全保障関連技術
3億7,000万ポンドを英国開発の先進通信技術に投資。地域社会や輸送ネットワークにおける接続性を向上し、ドローンなど防衛用途への応用も支援。うち、2億4,000万ポンドは先端的接続性技術研究開発（Advanced Connectivity Tech R&D）プログラムに、1億3,000万ポンドは英国通信研究所（UK Telecoms Lab）の機能強化に充てられる。

[DW編集局]