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- 国・地域名:
- EU
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 欧州委員会
- 元記事公開日:
- 2025/07/16
- 抄訳記事公開日:
- 2025/07/22
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次期Horizon Europe、4つの柱で研究・イノベーションを促進
Horizon Europe 2028 - 2034: twice bigger, simpler, faster and more impactful
- 本文:
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欧州委員会は2025年7月16日、2028年から2034年までの次期EU予算の一環として、次期研究・イノベーション枠組みプログラム(FP)であるHorizon Europeの予算を2倍の1,750億ユーロに増額することを提案した。
プログラムの構成
次期Horizon Europeは4つの柱に基づいており、最先端の研究・イノベーションを支援し、研究人材の誘致と育成、国際協力の促進、科学と社会の連携を強化する。
柱I「卓越した科学(Excellent Science)」は、EUにおける科学的基盤の強化、トップ人材の誘致、欧州における卓越した研究の促進を目的としている。欧州研究会議(ERC)、マリー・スクォドフスカ・キュリー・アクション(MSCA)、共同研究センター(JRC)を通じたEUの政策のための科学、が対象となっている。ERC は、最先端の研究を支援する能力を強化するために拡大され、「ヨーロッパを選ぶ(Choose Europe)」アプローチに従って、優秀な研究者とそのチームへの資金提供に重点が置かれる。
柱 II「競争力と社会(Competitiveness and Society)」は、社会へのインパクトが大きい分野における共同研究とイノベーションの支援を目的としている。欧州競争力基金(European Competitiveness Fund)と緊密に連携し、クリーン移行、デジタル分野でのリーダーシップ、防衛、産業、宇宙などの分野における EU の競争力強化を目指している。また、グローバルな社会的課題にも取り組み、EU のミッションや新たな欧州バウハウス・ファシリティ(New European Bauhaus Facility)も取り入れる。
柱 III「イノベーション」は、欧州のイノベーション支援を目的とし、新しい製品、サービス、ビジネスモデルの開発促進に重点を置く。欧州イノベーション会議(EIC)は、リスクの高い破壊的なプロジェクトに段階的に資金を提供するために拡充され、防衛およびデュアルユースのスタートアップ企業に焦点を当てることとなる。
柱 IV「欧州研究圏(ERA:European Research Area)」は、統一された欧州研究圏(ERA)の構築支援を目的としており、卓越性と社会的インパクトの促進に重点を置く。また、改革された「拡大参加(widening)」の要素も含まれる。新たな取り組みとして、研究・技術インフラの開発と運用の支援も行われる。
次期Horizon Europeでは、プログラムの実施は合理化される。これには、支援の簡素化、トピック数の削減、そして公募締切から助成決定までの期間短縮が含まれる。
ムーンショット・プロジェクト
次期Horizon Europeでは欧州競争力基金と密接に連携しながら、「ムーンショット・プロジェクト」を立ち上げる力を持つことになる。「ムーンショット・プロジェクト」は、研究段階から実証を経て、実社会への導入へと移行する。次期FP、欧州競争力基金、各国政府、公的機関、民間部門からの資金を組み合わせて提供される。「ムーンショット・プロジェクト」は、欧州を戦略的分野における世界的なリーダーとして位置付けることを目的に設計されており、次のような分野の進展を促進する。
▽将来の衝突型円形加速器(the future circular collider)
▽クリーン航空(clean aviation)
▽量子コンピューティング(quantum computing)
▽次世代のAI(next-generation AI)
▽データ主権(data sovereignty)
▽自動輸送とモビリティ(automated transport and mobility)
▽再生療法(regenerative therapies)
▽核融合エネルギー(fusion energy)
▽宇宙経済(space economy)
▽水質汚染ゼロ(zero water pollution)
▽海洋観測(ocean observation)
今後、欧州議会、EU理事会、欧州委員会の間で、機関間交渉が行われる予定である。
[DW編集局]