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- 国・地域名:
- フランス
- 元記事の言語:
- フランス語
- 公開機関:
- 研究・高等教育評価高等審議会(HCÉRES)
- 元記事公開日:
- 2025/06/27
- 抄訳記事公開日:
- 2025/08/20
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ANRは「産学連携にさらなる理解を」 HCÉRESが6年ぶりに報告書
- 本文:
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政府の独立評価機関、研究高等評価高等審議会(HCÉRES)は6月27日、国立研究機構(ANR)について「産学連携への理解をさらに深め、関係者の連携の場を増やすべき」「プロジェクトの数や支援額、間接経費についての目標や狙いを明確すること」など計12項目を提言した。
同審議会によるANRの公式評価は2019年以来6年ぶり。今回の報告書で同審議会は、ANRについて「研究支援中心的存在である」「評価や選考のプロセスを改善し、手続きの簡素化を実行してきた」「ガバナンス機能を発揮している」などの7点を高く評価。同時に「活動のインパクトが十分に明らかでない」「活動が(実社会に波及せずに)こちら側にとどまっている」「デジタルツールが細分化している」などの弱みも7点指摘した。そのうえで計12項目を推奨事項として提言した。
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同審議会が公表したANRの「強み」と「弱み」各7点、および「推奨」12事項は下記の通り。
■強み
▽ANRがフランスの研究支援の中心的存在であること。分野・領域全体を支えており、フランスの研究の質の向上のとともに、国際的な連携に貢献していること。
▽複数年研究計画法のもとで予算が大幅に増やされたことで、機関としての目的を達成していること。活動を飛躍的に増やすノウハウを身につけたこと。そして質や実践が国際的にもきわめてすぐれたレベルに達していること。
▽国内的にも、欧州全体としても、そして国際的にも重要である政策上の懸案に、確実に取り組んでいること。特に欧州におけるフランスの研究チームの関わり、責任ある研究の遂行、オープンサイエンス、男女平等などで、そのことが言える。
▽評価や選考のプロセスを明確に改善するとともに、応募手続きやファンディングそれ自体、そしてプロジェクトのフォローアップの様々な手続きを簡素化してきたこと。
▽ANRのガバナンスの部署が、明らかにその機能を発揮していること。そして適切に提唱された手段でその機能を効果的に実証していること。
▽各チームの能力や専門性の高さ、その堅実な仕事ぶりに定評があること。
▽ファンディングの支援対象者や外国のパートナー機関による理解の上に活動が成り立っていること。■弱み
▽ANRの活動のインパクトが十分に定義されておらず、明確に示されていないこと。その分析が科学関係の出版物のみに限定されていること。
▽ANRは公的な研究政策を支え、社会における科学の立ち位置を強めようという意図を持っているにもかかわらず、その活動が純粋にこちら側のみにとどまっていること(すなわちサイエンスの域を出ていないこと)。
▽民間企業についての知識が不十分であり、そのことによって、イノベーションや産学官の協力を満足に支えられずにいること。
▽明確な広報活動に努めているにもかかわらず、その知名度や認知度の推移が部分的にとどまっており、研究コミュニティによっても濃淡があること。
▽評価の基準やプロセスにはまだ透明化の余地があること。
▽オープンサイエンスに対する取り組みが積極的ではあるものの、データやプロジェクトによって生み出されたソフトウェアの公開についてはまだ不十分であること。各プロジェクトにおける持続可能な発展を考慮に入れた取り組みもまだきわめて限定的である。
▽情報システムやデジタルツールが細分化されたままであること。将来にわたって進化していくためらにそれらを統合しようとするビジョンや統一的に運営していく能力がないこと。■推奨12事項
1. 【ANRと政府の両者に対して】計画的な支出を拡張し、国などの公的機関の政策に資する研究を支援するというANRの活動を強化すること。
2. イノベーションの創出や産学連携(研究室と企業の連携関係)のためのツールへの理解を深め、うまく時代に適合させること。そして関係者同士、特に技術を持つ拠点間同士が連携する余地を増やすこと。
3. 社会全体における科学の立ち位置を強化すべく、機構の活動を拡大し、それらに注力すること。
4. ANRの妥当性を担保するため、関係コミュニティ、有識者、大学、グランドゼコール、研究機関、公的機関、企業など、社会全体との対話を強化すること。
5. 【政府に対して】ANR自身に加え、他の各ファンディング機関の役割を明確にすること。その際、施策のわかりやすさに留意するとともに、従来より煩雑さが増してしまうことは避けること。ANRはいわゆる「インベスティゲーター・ドリブン」「キュリオシティ・ドリブン」の研究プロジェクトを支援するファンディング機関の中心的存在としての立場を強化すること。
6. フィードバックをより深めることで、研究や社会全体におけるANRが行う活動のインパクトの全体像を評価し、測り、広く周知すること。
7. ファンディングの施策全体についてのフィードバックを定期的に行い、その役割の重要性とわかりやすさをより高め、さらに改善していくこと。
8. 研究インテグリティ、倫理、責任ある研究の遂行、男女平等に関する効果的な実践を促して行く努力を続けること。またオープンサイエンス、とりわけオープンデータに関する取り組みを一致結束させるため、より高度で確かな取り組みを行うこと。
9. 評価、選考、ファンディング、そしてフォローアップのプロセスをさらに改善して簡素化すること。プロジェクトの責任者、研究室、研究機関に対して果たす役割についても改善し、簡素化の必要がある。それによってANRのプロセスの透明性をさらに高めること。
10. ANRの活動で人工知能(AI)を使用していることについて、しかるべき時期にフィードバックを深め、デジタルプロジェクトの横断的な推進を強化すること。
11. 組織内のガバナンス機能をより全体的かつ効果的に行き渡らせ、中間管理機能を明確に作って横断的に機能させること。そして人材の価値をより高めるための活動を深めていくこと。
12. 【政府とANRの両者に対して】政府とANRの間に締結する予定の「2026~30年期事業契約」においては、(政府が)複数年にわたって予算を増額していくことをより明瞭にANRに示して予算の道筋を確約し、近年で実現した支援の効果をより強固なものにすること。同時に(ANRが)支援するプロジェクトの数、プロジェクトごとに割り当てる中期的な支援額、研究室や研究機関に支払う間接経費について、その目標や狙いを定めること。 [DW編集局]