[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国立科学財団(NSF)
元記事公開日:
2025/09/04
抄訳記事公開日:
2025/09/24

NSF、国立量子バーチャル研究所(NQVL)の設計プロジェクトに4チームを選定

NSF National Quantum Virtual Laboratory speeds into the design phase

本文:

(2025年9月4日付、国立科学財団(National Science Foundation: NSF)の標記発表の概要は以下のとおり)

NSFは、国立量子バーチャル研究所(National Quantum Virtual Laboratory:NQVL)の設計プロジェクトを推進する最初の4チームを選定した。これらのチームには、2年間で各400万ドル、総額1,600万ドルの資金が投じられる。NSF NQVLイニシアチブは、米国内の研究者が専門的資源にアクセスできる環境を提供することで、有用な量子技術の開発を加速することを目的とした野心的な取り組みである。

選定チームは、量子科学・工学・技術開発に不可欠なハードウェア・ソフトウェアへのアクセス拡大を具体化する設計に従事する。計画には、任意の場所から実験利用可能な共有型ネットワーク量子コンピュータの構築や、量子アルゴリズムの検証・改良に活用できる「デジタルツイン」型量子コンピューティングシミュレーションの開発が含まれる。

各チームは高等教育機関、米連邦政府機関(エネルギー省、国防総省、国立標準技術研究所、NASAなど)、および民間企業から構成される。IonQ、J.P. Morgan、NVIDIA、QuEraなど20社以上が技術開発や商業化のパートナーとして参画している。

NSFは2025年末までに第2陣の設計チームを選定する予定で、将来的な実装段階に向けたより大規模な資金提供も、連邦議会の予算承認を条件に計画されている。

選定されたNSF NQVLの4件の設計プロジェクトは、下記の通り。

・量子優位級イオントラップシステム
科学計算向けイオントラップ型量子コンピュータを開発し、標準コンピュータでは困難な計算を可能にする。NQVLを通じて、全国の研究者が利用できる量子計算リソースとして提供する。

・光子量子コンピューティングの応用
スケーラブルで信頼性の高い光子量子コンピュータのハードウェア・ソフトウェアを開発し、高速かつ実用的な量子計算を実現する。NQVLを通じて、大学・国立研究所・産業界の研究者が利用できる共有リソースとして提供する。

・量子優位を示す広域量子ネットワーク
10ノード規模の量子ネットワークを構築し、長距離量子通信や分散量子アルゴリズムの実装を可能にする。NQVLを通じて、全国の研究者が利用できるネットワーク型量子基盤として提供する。

・オープンスタック型ライデン原子量子コンピューティングプラットフォーム
中性原子論理量子プロセッサと統合スタックを開発し、科学・工学・社会課題に対する実用的量子優位の実現を目指す。NQVLを通じて、デジタルツインを含む仮想環境を活用し、全国の研究者が量子アルゴリズムの開発・検証に利用できる統合プラットフォームを提供する。

[DW編集局]