[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国立科学財団(NSF)
元記事公開日:
2025/09/19
抄訳記事公開日:
2025/10/22

NSFとUKRI、量子化学分野の共同研究を推進

NSF and UKRI launch $10M quantum chemistry collaborative research effort

本文:

(2025年9月19日付、国立科学財団(National Science Foundation:NSF)の標記発表の概要は以下のとおり)

NSFと英国研究・イノベーション機構(UKRI)は、量子コンピューティング、超高精度ナビゲーション、セキュア通信分野におけるブレークスルーをもたらす可能性のある8件の共同研究プロジェクトに資金を投じる。総額はNSFによる470万ドル、UKRI工学・物理科学研究会議(EPSRC)による420万ポンドで構成され、米英の研究者が化学反応や分子システムにおける量子情報の影響を解明し、その知見を応用することを目指す。

研究チームは、化学システムが本質的に有する複雑性を活用し、原子や光子に依存する現行の量子技術を超えることを目標としている。これにより、新しく異なるタイプの分子型量子ビットや、量子コンピューティング、量子センシング、量子通信に有用な基盤要素の創出が期待される。このパートナーシップは、量子研究における国際的な動向の高まりを示している。

応用例には、超高感度分子コンパス、分子スケールメモリ、新たな量子ビット形態が挙げられる。また、量子光学、分子分光学、ナノファブリケーションなどの分野で大学院生や若手研究者の育成機会を提供し、米英両国の学術機関間の長期的科学協力を強化する。これにより、量子や人工知能(AI)などの重要技術分野における協力枠組みである「米英技術繁栄協定」の目標を推進する。

また、NSFとUKRIは二国間協力を拡大する新たな資金提供機会も立ち上げている。AIおよび量子情報科学技術に関するセンター間協力では、現在NSFの助成を受けているセンターや研究所が英国側の研究組織と連携するために、最大50万ドルの追加資金を提供する。また「化学システムにおける量子情報の理解と活用」に関するNSFとUKRI/EPSRCによるリードエージェンシー方式の共同研究公募を、2026年度も継続する予定である。

[DW編集局]