[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツ連邦経済エネルギー省(BMWE)
元記事公開日:
2025/11/05
抄訳記事公開日:
2025/12/10

BMWE諮問グループ、新戦略文書「防衛経済、技術リーダーシップ、成長のための新しい戦略」を公表

Beraterkreis veröffentlicht Strategiepapier: „Eine neue Strategie für Verteidigungswirtschaft, Technologieführerschaft und Wachstum“

本文:

(2025年 11月5日付、ドイツ連邦経済エネルギー省(BMWE)の標記発表の概要は以下のとおり)

BMWEの安全保障・防衛産業強化諮問グループは2025年11月5日、「防衛経済、技術的リーダーシップ、成長のための新戦略」と題する戦略文書を公表した。

ライヒェBMWE大臣は、次のように述べた。「地政学的緊張が高まる今日、安全保障政策と経済政策は切り離せない。安全保障政策は、もはや国境ではなく、企業の工場、研究所、データセンターから始まる。強靭なサプライチェーン、信頼できる市場、革新力を備えた企業こそが、戦略的行動の基盤である。ウクライナ情勢は、エネルギー供給や重要インフラが軍事力と同様に安全保障の要件であることを示している。エネルギー、データ、原材料、テクノロジーは戦略的レバーへと変化した。特に人工知能、ドローン、ロボティクス、宇宙、衛星通信といった重点分野では、欧州の技術主権、防衛経済、経済成長を一体として捉える必要がある。今回の戦略文書は、そのための重要な示唆を与える。とりわけ技術的な立ち上げにおいて、ドイツと欧州は遅れを許されない。ウクライナは、最悪の状況下にありながら、とりわけドローン領域で高度に強靱な安全保障産業を形成しており、学ぶべき点は多い。そこには合弁事業、共同の生産設備、技術協力、生産規模の拡大が含まれる。経済力は安全保障上の強靭性を左右し、自由と主権を守る力をも決定する。」

▽ 背景と課題
ロシアの軍事的攻撃とトランスアトランティック安全保障保証の信頼性低下により、欧州は新たな安全保障環境に直面している。世界的には、技術的優位性と大量兵器システムの生産能力が、地政学的優位性の決定要因となりつつある。ドイツ・欧州はこの技術競争で遅れを取り、国家安全保障のみならず経済競争力やサプライチェーン全体にリスクを生じさせている。従来の資金増投入型アプローチは限界を迎えた。

▽基本方針
新戦略は以下の原則に基づく:
・防衛投資の戦略的意義:技術進歩、経済レジリエンス、国家繁栄の推進力として位置づける。
・速度優先:現代戦では、前線部隊への迅速な技術供給が勝敗を分ける。
・欧州主権の確保:防衛投資は外部からの脅迫を回避し、戦略的行動力を維持する手段とする。
また、軍隊の存在理由、社会的役割、防衛能力の核心的意義(持久力、実力行使、勝利能力)を明確化する。

▽ 戦略的施策
・「チーム・ヨーロッパ」構想
政府、軍隊、産業、金融、科学界を結集し、欧州安全保障・経済利益を共同で追求。防衛産業の社会的価値の対話を促進し、投資障壁を低減する。

・技術クオータとファストトラック
調達予算の一部を技術主導型・破壊的プロジェクトに投入。ドローン、AI、ロボティクス、極超音速、宇宙・無人システムなどを迅速に導入し、民生・防衛両用技術を優先活用。

・欧州戦略的イネーブラーへの投資
衛星偵察、統合防空、電子戦、サイバー・宇宙能力など、欧州の自立的行動力を確保する戦略技術へ重点投資。ドイツはアンカー投資家として共通防衛経済の基盤を整備。

・長期防衛投資計画と産業動員
10年間の投資計画を策定し、戦略的優先順位を明確化。弾薬、ドローン、ミサイル、重要部品の生産能力を確保し、緊急時の供給体制を構築。ウクライナ防衛産業との連携で欧州サプライチェーンを強化。

・輸出志向
調達と輸出を連動させ、規模の経済・コスト低減・雇用確保・産業基盤強化を実現。主要パートナー国との戦略的同盟強化にも寄与。

・経済潜在力の動員
自動車・機械産業を防衛生産に直接参画させ、中小企業を活性化。スケーラブルな軍事能力と新たな高賃金雇用を創出。

・地域安全保障・成長パートナーシップ
地方自治体、産業、研究機関が連携し、防衛技術開発と高度雇用創出を両立する地域エコシステムを形成。

・資本動員と資金調達
民間資本の参入を促進し、若手破壊的企業への投資を支援。欧州レベルで防衛を戦略的成長分野として認識し、安全・技術の資本市場を構築。

・プロフェッショナルな出資管理
国の分散出資を統合・管理し、防衛・デュアルユース企業のイノベーションを促進。国家は受動的出資者から能動的共創者へ転換。

▽ 戦略の意義
本戦略は、ドイツ・欧州における技術主権、経済力、戦略的行動力を再定義する世代を超えた機会である。防衛支出は軍事的効果と経済合理性を結び付ける投資となり、技術・経済・社会発展の原動力となる。欧州とドイツは力を増し、戦争防止、平和・繁栄確保、緊張緩和、気候・資源・安全保障の根本課題への能動的対応が可能となる。

ドイツは、安全保障主導の技術・経済的リーダーシップの新時代に突入する。

[DW編集局]