[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
マックスプランク協会(MPG)
元記事公開日:
2025/10/22
抄訳記事公開日:
2025/12/17

欧州特許庁調査:公的研究機関が欧州の特許出願とイノベーションを牽引

Europas Spitzenforschung als Innovationstreiber

本文:

(2025年10月22日付、マックスプランク協会(MPG)の標記発表の概要は以下のとおり)

欧州特許庁(EPO)の調査によれば、MPGは純粋な基礎研究機関であるにもかかわらず、欧州での特許出願に関与する研究機関のトップ10に入っている。学術系の特許出願で首位はフランスの国立科学研究センター(CNRS)である。学術系の特許出願に占めるドイツの割合は30%で、第2位である。調査結果は、イノベーションの推進における公的研究機関の重要な役割を強調している。

特筆すべき点は次の通りである。

・欧州における公的研究機関からの特許出願は、2001年から2020年の間に約6万3,000件に上った。
・ドイツはそのうち1万8,276件を出願し、フランスに次いで第2位である。
・ドイツの研究機関が関与する欧州特許出願件数は、2001年の691件から2020年には1,000件台に増加し、45%の伸びを示した。
・欧州における学術系からの出願の3分の2を占める上位10の公的研究機関のうち、ドイツ勢は3機関を含む。フラウンホーファー協会(FhG)が欧州で3位、MPGが7位、ドイツ航空宇宙研究センター(DLR)が10位である。

フラウンホーファー・システム・イノベーション研究所(ISI)と協働で作成された報告書「特許とイノベーションにおける欧州公的研究所の役割(The role of European public research in patenting and innovation)」では、欧州39か国の特許出願を検証した。その結果、フランス、ドイツ、オランダ、スペインの公的先端研究機関は、2001〜2020年にわたり約6万3,000件の欧州特許出願に寄与しており、これは欧州全出願の約5%に相当する。

優れた科学はイノベーションを牽引する。ドイツは平均を上回る貢献をしており、公的研究機関からの1万8,276件は欧州における学術系出願の約30%を占める。ドイツ国内ではFhGが7,852件でトップ(欧州3位)、次いでMPGが2,195件(欧州7位)、DLRが1,046件(欧州10位)であり、これらがバイオテクノロジー、エネルギー、半導体、航空宇宙の分野でのドイツのイノベーションの基盤を支えている。

MPGにおける過去20年で最も収益性の高い特許には、病的遺伝子を失活させるRNA干渉に関するいわゆる「トゥシュル(Tuschl)特許」が含まれ、これらは現在、全く新しい医薬品プラットフォームの基盤となっている。さらに、がん治療薬「スーテント®(Sutent®)」は、同協会に数百万ユーロ規模のライセンス収入をもたらした。

欧州特許庁の調査はまた、研究系スタートアップの強い経済効果を示している。欧州では2,800社超のスタートアップが、発明者が大学・公的研究機関または病院と関係を有する特許をEPOに出願している。ドイツは398社で欧州第3位に位置し、そのうち367件がドイツの研究機関と連携している。

「MPGは強力な知財組織を有し、特許・ライセンスで成功しているだけでなく、近年は起業家やスタートアップ支援にも力を入れている。これは最近のスピンオフ数にも表れている。今後は、研究成果をより迅速に実用化するために、検証段階の研究(validation research)への投資を一層進める必要がある」とマックスプランク・イノベーション・競争研究所の所長であり、数年間連邦政府のイノベーション審議会(EFI)の委員長を務めたディーター・ハルホフ氏は述べている。

[DW編集局]