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- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- カールスルーエ工科大学(KIT)
- 元記事公開日:
- 2025/11/11
- 抄訳記事公開日:
- 2025/12/23
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量子インターネット実現に向けた新基盤 ― 超伝導量子コンピューターとスピン量子メモリーの結合
- 本文:
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(2025年11月11日付、カールスルーエ工科大学(KIT)の標記発表の概要は以下のとおり)
カールスルーエ工科大学(KIT)は連携機関と共に、スーパースピン・プロジェクトにおいて量子コンピューターを量子メモリーと結合することを目指している。
安全な通信と欧州のデジタル主権の確立に向け、量子ネットワークは決定的に重要なキーテクノロジーである。KITの研究者は欧州のパートナーとともに、超伝導量子コンピューターをスピンベースの量子メモリーと連携させることで、基盤を構築しようとしている。
量子技術は過去数十年にわたり大きな進展を遂げてきた。特に量子コンピューターは、医薬品開発、材料科学、暗号分野におけるブレークスルーが期待されており、専門家の注目を集めている。しかし、量子コンピューターは他の量子コンポーネントとネットワーク化されて初めて、その潜在能力を発揮する。KIT物理学研究所のフンガー(Prof. David Hunger)教授は、「現在、多くの量子システムは互いに独立して動作している。スーパースピン・プロジェクトでは、量子コンピューターと量子メモリーを信頼性高く結合する技術を開発している。これにより将来、量子コンピューター同士を接続し、分散型量子計算を実現し、量子インターネットを構築するための基盤が整う」と述べている。
二つの量子システムを結合するには、量子システムにおける基本的な情報単位である量子ビットを用いて情報を交換する必要がある。その際、量子ビットは光子、すなわち光の粒子へと変換されて伝送される。これらの「飛翔量子ビット」は、光ファイバーを通じて高速かつほぼ損失なく伝搬する。離れた地点間で任意の量子状態を伝送するため、研究者は量子もつれの原理を利用している。
この結合の実現は技術的に極めて高度である。両量子システムは異なる物理原理に基づき、使用する周波数帯も異なる。超伝導量子ビットはマイクロ波領域で動作する一方、ダイアモンドベースの量子メモリーはスピン状態に情報を保持し、可視光領域で制御される。このため研究者は。量子状態を個々の光子に変換し、その波長を通信帯域に適合させる特殊な量子トランスデューサーを開発している。
欧州イノベーション会議(EIC)のパスファインダー・プログラムは、根本的に新しい技術につながる先駆的な構想を支援している。スーパースピン・プロジェクトは、総額1億4,000万ユーロ超の支援を受ける44の採択プロジェクトの一つである。KITの研究者は、フィンランドのアールト大学、チェコのパラツキー大学、オランダのスタートアップ企業QphoXの研究者と共同で研究を進めている。
[DW編集局]