[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
大統領府
元記事公開日:
2026/03/02
抄訳記事公開日:
2026/03/09

核弾頭を増備へ 政策を転換、「先進抑止力」目指す

Discours du Président de la République sur la dissuasion nucléaire de la France.

本文:

 マクロン大統領は2日、北西部ブルターニュ地域圏の海軍基地で演説し、国として保有する核弾頭の数を増やす方針を明らかにした。具体的な数には言及しなかったが、冷戦終結以降、長期的に保有数を減らしてきたフランスにとっては、政策上のきわめて大きな転換点を迎えたことになる。

 演説のなかでマクロン氏は、▽弾道弾迎撃ミサイル制限条約(ABM)からの米国の脱退(2002年6月)、▽中距離核戦力全廃条約(INF)の米国の破棄に伴う失効(2019年8月)、▽米ロ間の新戦略兵器削減条約(新START)の失効(2026年2月)――などの事実を列挙し、核兵器開発をめぐって「各国が思うがままに行動してきた」(Chacun a pris ses libertés)ことを懸念した。2月28日に始まった米国とイスラエルによるイラン攻撃への詳細な言及はなかったものの、新STARTの失効直後に両国が軍事攻撃に踏み切ったことが、今回のマクロン氏の決断を後押しした可能性がある。

 その一方でマクロン氏は、欧州の国々が「自らの安全保障を第三国が作った秩序に依拠することにすっかり慣れてしまった」(Les Européens ont pris l’habitude que leur sécurité dépende de règles faites par des tiers)と指摘し、「適切に自己決定する」(Les Européens reprennent le contrôle de leur propre destin)ことの必要性を訴えた。また一連の核弾頭増強を「先進抑止力」(La dissuasion avancée)と表現し、抑止力としての核兵器の位置づけは維持している。さらに核兵器を仮に使用する場合であっても、その意思決定はフランス大統領のみが行うという従来の方針に変わりがないことも強調した。

 政府は保有する核弾頭の数を公表していないが、スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、フランスは2025年1月現在で290個を有している。

[DW編集局]