[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
元記事公開日:
2015/01/25
抄訳記事公開日:
2015/02/05

高水準の研究開発支出

Ausgaben für Forschung und Entwicklung auf hohem Niveau

本文:

科学のための基金拠出者連盟は、経済セクターの研究開発調査の結果を発表した。これに関して連邦教育研究省(BMBF)は概略下記のような報道発表を行った。

研究開発調査によると、ドイツにおける研究開発支出は対前年度比1,3%増加で、約802億ユーロとなっている。大学の研究開発費は+3,2%、大学外研究機関は+6,7%と明らかに増加、経済界の支出は前年度の同じ水準に留まり、536億ユーロとなっている。

これによって、総研究開発費のGDP費は2,85%となっている。2012年に比べ研究開発の数値が低くなっている原因はひとえに、2014年秋に全EU加盟国によって実施された欧州国民経済計算体系(the European System of Accounts)の転換にある。これに伴い研究開発への努力も総合経済的に評価されることになり、GDPのための投資としても認められることになった。それによってGDPは約3%上昇している。しかしこの上昇によって、旧計算方式によれば実際には研究開発費を国内総生産の3%という目標には到達していたにもかかわらず、結果としてその目標から若干離れる結果となった。

ヴァンカBMBF大臣は、「研究と開発は、我が国の経済的発展と繁栄のための重要な条件である。支出が更に増加したにも関わらず、産業界からの支出増にブレーキがかかったことは、たゆまぬ努力をないがしろにしてはならないことを示している」と語り、「2014年については、連邦政府は全省庁にわたる厳しい予算にもかかわらず研究と開発のために146億3,000万ユーロを計上している。これは2005年以降60%強の増額である。2015年についても連邦予算はこの科目については続けて増額を予定している」と続けた。

研究開発は経済全体のイノベーションの重要なベースである。この点は、欧州経済研究センターのイノベーション調査の結果も、証明するところである。同調査は研究開発調査のみならず、研究開発領域における活動に焦点を当てている。それによると、企業は2013年にイノベーション領域に対前年度比で5.3%多く拠出している。イノベーション支出総額は1,446億ユーロへと増加している。イノベーション支出には純粋な研究開発支出の他に、マーケティング、販売、新製品やプロセスのコンセプトに対する資金、新しい設備等への投資も計上される。特に自動車産業、コンピュータ、通信、電子、化学、医薬品産業等の研究集約的な産業分野の企業は、その研究開発支出を大きく引き上げ、それによって2013年におけるイノベーション支出の増加に大きく寄与している。

研究とイノベーション活動の大部分は大企業によるところ大であるが、科学のための基金拠出者連盟の調査はもとより、欧州経済研究センターのイノベーション調査でも、特に中小企業に積極的な姿勢が見られるとしている。中小企業の研究開発支出が2012年に比べ約4,6%増加し、そのイノベーション支出は4,9% 増加している。

同大臣は、「中小企業を強くするために、イノベーション振興が制度化され、安定したシステムに留まるのではなく、新ハイテク戦略によってそれ以外の道筋も取り上げ、革新的な施策を軌道に乗せなければならない」と語り、「例えば、各種の連携の中で発生するテスト設備や試用機会の振興を視野に入れていく。特に中小企業がその恩恵を受けることができ、また受けるべきである」。

欧州と比較して、ドイツ経済界のイノベーション実績は非常に高い水準となっている。2014年末に発表された欧州委員会のCommunity Innovation Surveyは、ドイツは製品とプロセスのイノベーションを有効に導入できた企業の割合、そしてイノベーション支出額で第一位を占めている。欧州イノベーション支出合計の約40%がドイツの企業に依っている。

[DW編集局]