[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
元記事公開日:
2015/02/04
抄訳記事公開日:
2015/02/20

個別治療への道

Auf dem Weg zur maßgeschneiderten Therapie

本文:

ヴァンカ連邦教育研究大臣は世界対がんデーに当たり抱負を語った。これに関して連邦教育研究省(BMBF)は概略下記のような報道発表を行った。

ドイツがん研究の成果は新しい予防、診断、治療の重要な基盤である。「皆、がんの治癒を願っている。この点に関して優れた研究のお蔭で大きな進歩を遂げている。がん予防と治療の未来は、個別化された治療のウェイトがますます大きくなり、研究、診断、治療が継ぎ目なく結びついている」と世界対がんデーでヴァンカ大臣は語った。連邦政府は、がん研究のためのプロジェクト助成とヘルムホルツ協会(ドイツにおける最大の生物医学研究機関であるドイツ癌研究センター‐DKFZ‐を傘下に有する)への助成だけで今年度2億ユーロあまりを用意している。これに更にドイツ研究振興協会(DFG)、マックス・プランク学術振興協会(MPG)、ライプニッツ学術連合(WGL)等への助成措置が加わり、連邦政府が大きく資金負担をしている。

研究と密接に結びついた形で、個別化治療が既に応用に入っている。ケルン大学の研究者たちは、BMBFが他機関と共同で資金負担する臨床実験において肺がんにおける遺伝子変化を発見。臨床実験対象者の約半分は、分子診断を基に新しいインテリジェント薬剤によって治療が施された。これは放射線治療や抗がん剤治療とは異なり、急速に自己分裂した細胞に向かうのではなく、がん特有の細胞変化に正確に作用する。これによって治療効率が上昇し、副作用が軽減される。

国際がんゲノムコンソーシアム(ICGC)におけるプロジェクトの助成によって、世界的に腫瘍性疾患の遺伝的原因が体系的に探究されている。BMBFによって一部資金負担されている同コンソーシアムによるINFORM調査は、がんを患い、再発に苦しむ子供たちを対象にするものである。小児がんが再発した子供たちの治癒率はあまり高くない。再発における遺伝子変化の分析を基に、個別化された治療が行われるべきである。

腫瘍を分子生物学的レベルで性格づけし、最適な治療法を見出すためのコンセプトはハイデルベルクのNCT(国立腫瘍疾病センター)において検証されている。NCTにおいては、がん研究と患者の治療が同じ屋根の下で行われている。ドイツがん研究センター、ハイデルベルク大学病院、ドイツ癌支援協会がその担い手である。目標は将来患者一人ひとりにターゲットを絞った治療法を提供できるようにすることにある。そのためNCTは、連邦政府とバーデン・ヴュテンベルク州政府の資金によって整備されることとなり、またドレスデンにはザクセン州政府の支援によりNCTパートナーシップ拠点を設けることとなっている。

がん研究の新しい起爆剤として、BMBF主導で関係所在州と協力し、ドイツ・トランスラショナルがん研究コンソーシアム(DKTK)を設ける。目標は、ドイツの新たなトップレベルがん研究拠点に最高のアイデアを結集し、研究成果をより迅速に治療へと移転させることにある。

[DW編集局]