[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
フランス科学アカデミー
元記事公開日:
2015/06/16
抄訳記事公開日:
2015/07/23

公的研究のファンディング:切迫した現場

Le financement de la recherche publique : un chantier urgent

本文:

フランス科学アカデミーの2015年6月16日付け標記報道発表の概要は以下のとおり。

科学アカデミーは2013年12月及び2014年10月の2回フランスの公的研究のファンディングに関する意見を表明したが、フランスにおけるハイレベルの基礎研究の維持環境に今なお大きな懸念を抱いている。

研究機関や大学を通して割り当てられる基盤的予算が大きく減少することで、多数の質の高い研究チームが国際的競争に対応できる物的環境での研究を出来なくなっていると考える。さらに国立研究機構(ANR)の予算の大幅減少及び「自由テーマプログラム」(Programmes Blancs)がほとんど消滅状態にあることで、基礎科学研究関連の独創的な研究に従事している研究者のファンディングが止められている。将来への応用も閉ざされており、このことが技術・産業イノベーションの減退も招いている。いわゆる「社会的」研究への固執があって、「流行の」研究テーマがあまりに多く優遇され、多数のハイレベル研究チームがファンディングから置き去りにされている。

一方、研究管理の簡素化策は実施されていない。逆に研究組織の詰め込みでフランスの研究制度の複雑性や管理経費の増大を招いている。経済的・予算的に困難な時期にあって、全体予算の顕著な上昇を抑えて研究運用における運用幅を確保するには、管理に関する実際的な軽減努力が急務である。

科学アカデミーは、現状では科学研究・イノベーションとは縁遠いセクターの支援に使われている一部の研究費税額控除(CIR)が各研究室の実際のニーズに向けられるよう要望する。CIRは新興イノベーション企業や全国の各研究拠点を展開する企業向けに重点を置くべきである。

科学アカデミーはまた、優秀な若手研究者が、博士号取得時から研究職員採用までの微妙な時期に研究を離れたりフランスを去ったりする例が多くなっていることを深く憂慮している。臨時雇用は、長期にわたる研究には不向きである。

労働協約における博士号のレベル認定は、他の主要国に存在するものと等価な地位を保証するために継続する必要がある。

[DW編集局+JSTパリ事務所]