[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
大統領科学技術諮問会議(PCAST)
元記事公開日:
2015/05/15
抄訳記事公開日:
2015/07/14

エネルギー政策提言5項目、精密医療イニシアチブ概要

PCAST Meeting of May 15, 2015

本文:

2015年5月15日大統領科学技術諮問会議(PCAST)は全米科学アカデミー(NAS)において会議を開催した。以下にその概要をまとめる。

5月15日開催PCAST会議の主要なテーマは4年間のエネルギー分野の取り組みの振り返りと将来への提言、並びにPMIの現状についての討議であった。エネルギー省エネルギー政策・システム分析局筆頭副局長のJonathan Persing氏、大統領行政府科学技術政策局(OSTP)法医学・生物医学イノベーション部部長補佐のTania Simoncelli氏、Regeneron Laboratories社社長兼最高科学責任者(CSO)のGeorge D. Yancopoulos氏等がスピーカーを務めた。

Jonathan Persing 氏のプレゼンテーションのポイント:
米国エネルギー輸送、貯蔵、流通・配電(TS&D)を中心としたエネルギー分野の本質的な変化(生産の増加、政策の進展、技術の進歩、エネルギー安全保障に関する変化)について踏まえた上で、以下5つの重点項目を提言した。
・未来のスマートグリッド
グリッドの近代化に35億ドル、各州又は複数の州のグリッド信頼性計画への補助金3-3.5億ドル、送電計画の全国レベルでの審査と実施における障害の確認など
・世界のエネルギー安全保障インフラの近代化
戦略的石油備蓄(SPR)の近代化及び延命措置に15-20億ドル、G7のエネルギー安全保障共同体イニシアチブの実施
・弾力性、回復力、安全性及び資産回復
エネルギーシステムの補強に30-50億ドル、天然ガス輸送パイプライン交換加速のための料金負担緩和に25-35億ドル、各州へのエネルギー保証・弾力性計画に3-5億ドル、戦略的予備変圧器確保計画
・共有インフラの改善
エネルギー集約型コネクタープロジェクトへのASSETS計画に20-25億ドル
・北米エネルギー市場の統合
協力的措置を通じたカナダとメキシコとの北米エネルギー統合の推進、カリブ海地域再生可能エネルギー・LNGプロジェクト計画への支援

スライドURL
https://www.whitehouse.gov/sites/default/files/microsites/ostp/PCAST/Pershing.pdf

Tania Simoncelli氏のプレゼンテーションのポイント:
PMIはオバマ大統領の2015年一般教書演説で、医療の飛躍的前進として取り上げられた
・患者、研究者、医療提供者が一体となって精密な治療法を開発する、研究と技術を活用した新時代の医療である。従来の治療法のほとんどは平均的な患者を想定しているが、精密医療(PM)は「一つで全てを賄う」思想から離脱して、ヒトの遺伝子・環境・ライフスタイルの多様性を考慮した病気の予防及び治療に用いる手法。
・タイミング:近年導入の環境が整った。ヒト遺伝子の塩基配列の決定に必要なコストは10年前の千分の一以下、所要時間1日未満、米国の電子カルテ採用の医療提供者が90%以上、コンピュータの演算速度は飛躍的に伸びた。
・ビジョン:幅広い研究プログラムを構築してPMに対する創造的アプローチを奨励し、厳格な試験を行って、究極的には臨床使用の指針に必用なエビデンス(証拠)ベースを構築する。短期的には、PMの基本理念を癌などの健康に対する重大な脅威に適用、長期的にはPMを殆ど全ての健康と疾病の領域に浸透させるために必要な情報ベースを構築する。
・PMIのコア要素:癌(国立がん研究所主導で遺伝子に基づいた癌臨床試験の拡大など)、全米研究コホートの創設(国立衛生研究所、その他の取り組みで100万人以上の米国人をボランティアとして研究参加に取り込み、治療記録、遺伝子情報、環境及びラフスタイルデータなど多様なデータ源の提供を受ける)、医療行政の近代化(PMの進歩と国民の健康を守るための変化を特定して支援し、次世代DNAシークエンシングの規制に関する新しいアプローチを開発)
・コア活動:政府横断ワーキンググループによる参加者取り込み、ステークホールダーへの周知徹底、情報インフラの構築、関連法令の近代化、秘密保持の徹底、国立衛生研究所の諮問委員会はコホート設計に関する提言を行う。
・PMIとプライバシー:PMI参加者の情報のプライバシー保護及び情報セキュリティーの枠組みを構築する。

スライドURL
https://www.whitehouse.gov/sites/default/files/microsites/ostp/PCAST/Simoncelli.pdf

George D. Yancopoulos氏のプレゼンテーションのポイント:
遺伝子解析等から健康増進のための新しい方法に移行
・病気の予後診断に個人のゲノムを活用、早期でより正確な健康リスク予測
・正確な診断と治療の選択肢を与えるために、個人のゲノム解析から、類似した病気との差別化を改善してより精密な治療をより適切に行う。
・個人のゲノムから疾病の原因となる又は、疾病から個人を保護する遺伝子を見つけ出し、これらの「遺伝的に解明された」新たな薬剤標的に基づいた治療薬の開発を行う。
・ヒトの遺伝的特徴の医薬品への応用は既に、初の生物製剤で成功したインターロイキン1遮断薬によるクリオピリン関連周期熱症候群の治療や、最近は高コレステロール血症や循環器病の治療薬として注目を浴びているPCSK9抗体などが知られている。
Regeneron社は保健医療提供・支払者のGeisingerと協力する事により、Geisingerが保有する250万人の医療記録を活用してかつて無かった最大規模の塩基配列決定を実施し、ゲノム解析と病気治療の関連性を調査。
・医薬品開発とゲノム医療に貢献するため、差し当たって25万人以上の匿名化されたゲノムデータと臨床データを結びつけて世界で最も詳細な遺伝子型―表現型情報源を構築する。
・遺伝子に関係する発見を患者の転帰の改善やよりよい治療薬に置き換える事によりゲノム情報を医学的に活用可能な情報へ転換する。
・Geisingerの長期にわたる患者カルテを活用する方向で、8万人の患者からこの取り組みへのボランティア又は参加者としてデータを活用する事に同意を得、内4万人については既に遺伝子解析がなされた。特徴として、カテーテル処置群約8000例、肥満手術群約4000例が集まり、例えば、新たな脂質関連遺伝子やエクソームの機能喪失変異体遺伝子の発見や、重度肥満症における機能喪失変異体遺伝子の家族性保因者(carrier)と肥満度指数(BMI)の関連性につながっている。

スライドURL
https://www.whitehouse.gov/sites/default/files/microsites/ostp/PCAST/Yancopoulos.pdf

[DW編集局+JSTワシントン事務所]