ロシア連邦政府の2015年6月9日付標記発表記事では、大統領附属経済近代化・イノベーション発展評議会幹部会会合におけるメドヴェージェフ首相の冒頭演説の内容を報じている。概要は以下のとおり。

第1の議題は国家技術イニシアチブの実施に、第2はITにおけるイノベーション開発に関連したものである。いずれも近い将来にロシアが新しい経済世界においてリーダーの一員となるために重要なイニシアチブである。

国家技術イニシアチブとは、20年間の極めて重要で広範囲にわたる計画目標を定めた国のイノベーション開発に関する長期戦略である。関連指示が連邦議会に対する大統領教書演説において打ち出された。現在それは、企画・創造チーム、投資家、企業、開発機関、国家による共同施策プログラムとなっている。最新技術の導入及び新たな世界市場の創出を目指す必要がある。

政府はロシア科学アカデミー及び戦略イニシアチブ・エージェンシー（Strategic Initiatives Agency）と協力して作業を行い、上記イニシアチブの展開に向けた主要な方針を固めた。科学者や企業家等から成る作業グループが今後の世界市場モデルを作成しており、ロードマップの策定作業に着手した。

外交政策上の複雑な情況にあって、ロシアのIT開発業者の支援及びロシア独自の技術によるソリューションやプラットフォーム（インフラ）の開発支援は、単なる情報の問題というより国家安全保障の問題でもあることは明らかである。ロシアのIT企業は世界市場での競争力という点で優位な立場にあり、国内市場でのシェア拡大だけでなく、今後数年間でソフトウェアの輸出を増やす現実的なチャンスがある。このようなプロセスの振興・支援を行い、快適な事業実施条件を確保することが必要である。2020年までのIT開発戦略の一環としても、ITプロジェクトのさらなる支援が進行中である。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]