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- 国・地域名:
- 中国
- 元記事の言語:
- 中国語
- 公開機関:
- 中国科学報
- 元記事公開日:
- 2015/07/22
- 抄訳記事公開日:
- 2015/09/01
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中国人研究者、率先して暗黒物質の発見へ
- 本文:
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2015年7月22日付の「中国科学報」ネット版は、「中国人研究者、率先して暗黒物質を発見するために努力する」と報じた。本記事ではその概要をまとめる。
2015年·香山科学会議(※)が、このほど北京で開かれた。同会議で、執行主席の一人である上海交通大学の李向東教授は「今後5−10年内に、我々は中国本土の実験基地の優位性を発揮し、四川省の錦屏地下実験室及び西蔵(チベット)阿里天文台の観測施設により宇宙マイクロ波背景放射を実施し、先端的な探査·測定技術の研究開発を加速し、率先して暗黒物質を発見するように努力すべきである」と表明した。
暗黒物質と暗黒エネルギーは、21世紀の現代物質科学の最大の謎の一つで、全世界の物理学者と天文学者により、その謎を探求する努力が続いている。暗黒物質は宇宙に存在する物質の質量の8割以上を占めるが、目に見えない。過去5年間で中国は暗黒物質と暗黒エネルギーの研究分野における飛躍的な発展を実現した。2010年、中国は四川省で「世界最深」の実験室を設けた。同実験室は四川省·雅砻江錦屏水力発電ダムの建設用に掘られた錦屏山トンネル内に設置され、厚さ約2400メートルの岩盤下に置く、地下深い実験室である。現在、錦屏地下実験室の二期建設拡張工事が進められており、拡張後の13万メートルの実験室内で、暗黒物質の地下での直接な探査·測定が実施される見通しだ。2014年、中国暗黒物質実験チームは世界で最も純度が高いゲルマニウム結晶を用いたGe検出器を利用して、更に暗黒物質が集中している領域を縮小し、暗黒物質の直接検出を目指す。
今回の香山科学会議で、専門家は西蔵(チベット)阿里天文台への投資を拡大し、その優れた地理·気象条件を活用して、暗黒エネルギーの研究にも力を入れるべきだと提案した。
中国は今後、本土の実験基地·プロジェクトを実施するほか、南極台天文望遠鏡、空間光学望遠鏡等の観測装置を用いて、暗黒物質、暗黒エネルギーの研究分野における世界のトップレベルに達するように努力する。
※香山科学会議は科学技術部(MOST)主催、科学技術部(MOST)と中国科学院(CAS)の共同支持のもとで、1993年に正式に創立し、学際的で、少人数の学術会議である。
[JST北京事務所]