[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
英国財務省
元記事公開日:
2015/10/14
抄訳記事公開日:
2015/12/24

英国のビッグデータ研究支援

UK to lead on big data research, says Harriett Baldwin

本文:

英国財務省の2015年10月14日付標記発表記事によると、ハリエット・ボールドウィン(Harriett Baldwin)経済担当大臣は同日、アラン・チューリング・データ科学研究所で講演し、4,200万ポンドに上る研究投資を発表した。講演の概要は以下のとおり。

英国はすでにファイナンシャル・テクノロジー(FinTech)の主要な担い手である。英国政府としては、英国が世界における主導的FinTechセンターになる、つまり重要なプレイヤーになってほしいと強く願っている。英国はFintechに関して世界でも急速に成長した国の一つである。英国およびアイルランドにおける投資は2014年に136%成長して4億1,000万ポンドに達し、欧州全体のFinTech投資の42%を占めている。2014年は全国で13万5,000人がこのFinTech部門に雇用されており、同部門の業績によりGDPは200億ポンド大きくなった。

英国政府は「FinTech特使」を擁することで、政府のFinTech戦略の展開を支援し、英国がグローバルなFinTechハブになるよう推し進め、また全国のFinTech企業と協力して地域連携を促している。政府は、世界を主導する英国のFinTechセクターを支援するため、英国の銀行業務のさらなるオープン化にも取り組んでいる。直近の年度予算では、英国銀行業務の競争力およびイノベーションの向上を目的とするアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)のオープン規格を公布する旨発表した。

英国への海外投資家およびユーザを引き寄せるべく、デジタル通貨にとって望ましい制度の創設に鋭意努力しているところである。産業界もデジタル通貨交換の制度化に向けた取り組みを歓迎しており、すでにデジタル通貨企業(ビットコイン・サービス会社のCircleなど)の英国への移転が決まっている。

しかしながらFinTech企業の支援だけで済むものではない。FinTechの卓越性の基盤となっている領域の支援も必要で、技能、科学、研究開発等にも投資する必要がある。科学も研究も英国が大きな力量を有する領域である。英国は、世界の1%に満たない人口であるにも関わらず、トップレベルの研究成果に占めるシェアは16%である。外国の投資家は、大学との知識共有の機会、質の高い研究開発人材との接触の機会など、英国の研究能力に引き付けられている。

データに対する投資は、社会科学の分野における英国の主導的地位を確実なものにしており、金融セクター関連のみでも工学・物理科学研究会議(EPSRC)を通じて42件の助成金に9,670万ポンド相当の投資をしている。アラン・チューリング・データ科学研究所に対する政府の投資は、ビッグデータおよびアルゴリズム研究の活用方法で英国のリードを確保しようとする政府の取り組みの明確な証である。高等数学・コンピュータ科学のリーダーらを集結すべく、5年間で4,200万ポンドを投資した。

アラン・チューリング・データ科学研究所は2015年11月に正式に発足するが、その目的は、公的セクターが所有するデータを含むデータ科学のアプリケーション開発能力を支える解析手法において、英国の最先端の位置を維持確保することにある。

[DW編集局]