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国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
フラウンホーファー協会 システム・イノベーション研究所(ISI)
元記事公開日:
2015/12/21
抄訳記事公開日:
2016/01/26

ドイツはトップの後塵を拝している、中小企業への助成が必要

Innovationsindikator: Deutschland liegt hinter der Weltspitze und sollte kleine Unternehmen fördern

本文:

イノベーション力の国際比較を行うイノベーション・インディケーター2015が発表され、これに関してフラウンホーファー・システム・イノベーション(ISI)が概略下記のような報道発表を行った。

ドイツはイノベーションの国際競争で、世界トップのスイスとの距離を縮めている。全体的にはトップグループは混戦模様であるが、フランスと中国は脱落しつつある。ドイツ中小企業には多くの隠れたチャンピオンがいるものの、自国のイノベーション・システムの中では中小企業は二次的な役割しか果たせていない。ドイツの中小企業は資金、外国人専門人材、デジタル・エコシステム等へのアクセスを改善する必要がある。

Acatech(ドイツ工学アカデミー)とドイツ産業連盟(BDI)の委託によりISIが欧州経済研究所(ZEW)と共同作成したイノベーション・インディケーター2015は上記のような結果となった。ISIの所長であるヴァイゼンベルガー・アイブル教授は、「世界経済が困難な状況であるにもかかわらずドイツは国際競争においてその地位を堅持することができた。先頭を行く各国との差は縮まっている」と語った。

イノベーション・インディケーター2015によるとグローバルなイノベーション競争はますます混沌としている。スイスはシンガポールを抑えてトップを保持しているが、ポイントを失いつつある。ドイツはベルギー、フィンランドと同グループで、第5位にある。他の欧州諸国ではフランスが地歩を失いつつある。また中国も輸出の低迷、科学システムや経済改革の遅れによって後退している。ドイツの強みとなっているのはハイテク輸出、技術に基づく改革、アカデミアと経済界の協力等であるが、教育システムは大きな改革にもかかわらず弱点の一つとなっている。

中小企業のEasy Access
インディケーターの重点テーマは中小企業であった。良いニュースとしては、世界の隠れたチャンピオンの二つに一つはドイツの中小企業であるというもの、しかしドイツでは中小企業は国内のイノベーション・システムの中で控えめな役割しか果たしていない。中小企業には経済界の研究開発資金の16%しか投資されておらず、平均以下である。たとえば、韓国は27%である。Acatechのカーガーマン会長は「中小企業のこの低い数字はドイツが革新的な大企業を多く有する結果出てきたものである。しかし、Industrie 4.0のブレークスルーは、中小企業を引き込まなければ成功しない。このためには中小企業によるイノベーション・プログラムと専門人材へのアクセスを改善する必要がある」と語った。

中小企業と起業後まもないスタート・アップにとってさまざまな市場におけるハードルを低くしていく努力がなされ適用されなければならない。これは国の助成計画の官僚的な申請手続きの改善から始めなければならない。他の多くの国々に比べて、ドイツには広範囲な税による研究開発優遇措置が欠けている。官僚的手続きの簡素化、支援、そして総年俸における敷居を低くすること等によって、外国人人材獲得における中小企業の構造的に不利な状況を緩和することができる。

イノベーション・インディケーターについて
ノベーション・インディケーターは毎年行われるイノベーションの強さに関する比較調査である。経済拠点ドイツのイノベーション条件を把握し、経済、科学、教育、国家、社会の各領域におけるランキングを比較し、先進工業国、発展途上国と総合的なインディケーターで比較する。これがイノベーション政策を決定するにあたり基盤となる。

[DW編集局]