[本文]

国・地域名:
中国
元記事の言語:
中国語
公開機関:
中国科学報
元記事公開日:
2015/12/29
抄訳記事公開日:
2016/03/22

中国人科学者、世界で初めて新たな着床前診断の方法を確立

中国科学家在国际上首次建立全新植入前胚胎遗传学诊断方法

本文:

2015年12月29日付の「中国科学報」ネット版は、「中国人科学者、世界で初めて新たな着床前 胎生遺伝学的診断方法を確立」と報じた。本記事ではその概要をまとめる。

北京大学の謝暁亮、喬傑、湯富酬氏の研究チームはこのほど、世界で新たな着床前胎生遺伝学的診断法であるMARSALA(mutated allele revealed by sequencing with aneuploidy and linkage analyses, ハイスループットスクリーニングによる突然変異対立遺伝子の測定、染色体異常及び連鎖解析)を確立したと米国科学アカデミー(NAS)の機関誌(Proceedings of the National Academy of Sciences, PNAS)電子版に発表した。同診断法により、胎生早期に各種の単一遺伝子疾患と染色体疾患を精密診断し、重篤な遺伝性疾患児の出産を回避できるとのこと。

着床前診断(Preimplantation Genetic Diagnosis, PGD)は胚盤胞を着床前にその遺伝子と染色体を解析して診断する技術である。新たな着床前胎生遺伝学的診断方法であるMARSALAはハイスループットスクリーニング(high-throughput screening, HTS)により突然変異対立遺伝子と全ゲノムの染色体異常を測定でき、同時に高精度連鎖解析を行い、全体的な診断範囲及び正確性を高める。

同手法は以下の点で突出した優位性を持っている。
1.精度が高く、全面的な解析が可能。単一遺伝子疾患及び染色体疾患を精密に診断でき、伝統的診断方法より正確で直感的である。
2.多重チェックにより診断の正確性と信頼性の顕著な向上が期待できる。
3.コストを大幅に下げることができる。同手法により胚胎診断を行って、一定の条件(ゲノムの2倍カバー率)の下で全ての解析需要が満足できる。
4.操作が更に便利になる。ハイスループット・スクリーニングにより突然変異対立遺伝子、染色体異常及び連鎖情報等の高精度の診断結果が得られる。
5.応用範囲が広い。各種の遺伝性疾患の患者家系及び全てのゲノム突然異変がMARSALAにより診断できる。

新たな着床前胎生遺伝学的診断方法は基礎と臨床を有機的に結合した学際的な研究成果のみならず、橋渡し医療研究の成果と言える。同研究は国家自然科学基金、科学技術部863計画(国家ハイテク研究発展計画)、北京市科学技術委員会関連プロジェクト及び北京大学-清華大学ライフサイエンス連合センターからの強力な支援を得た。

[JST北京事務所]