[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)
元記事公開日:
2016/01/20
抄訳記事公開日:
2016/04/22

科学教員に新しい科学標準を継続的に学ぶ機会を

K-12 Science Teachers Need Sustained Professional Learning Opportunities to Teach New Science Standards

本文:

2016年1月20日付の全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)による新しい科学標準に基づいた教員の職能開発に関する記事の概要は以下の通りである。

NASEMの最新の報告によると、科学を学び教える為の最良の方法について研究者や教員の理解が進み、カリキュラムが再設計される中で、多くの教員は自らが担当する科学技術の授業を向上させるために必要な経験が欠如したまま置き去りにされていると指摘している。この問題は小学校や、低所得世帯の学生の比率が高い学校で特に顕著である。この研究を実施し報告書を作成した委員会は、職歴を通しての科学教員に対する首尾一貫した学習の機会が欠如しているとし、教室内外における教員の職能開発を支援するために現行の制度の変更を勧告した。

米国の科学教育の品質を向上させるための既存の取り組みの一環として多くの州では2011年のアカデミー報告(A Framework for K-12 Science Education: Practices, Crosscutting Concepts, and Core Ideas)に基づいた次世代科学標準(Next Generation Science Standards)を採用している。この標準では、全ての学生が高卒までに学習すべき主要な科学的思想や実践の概要を示しており、教員が提示した事実や情報を暗記する事から脱却して、学生主導による調査や核となる概念に対する深く掘り下げた研究を求めている。

次世代科学標準は、学生と教員の双方に、学習の機会についての考え方を変えるためのモチベーションを与えるものである。多くの科学教員は、この12年生(高校3年生に相当)の科学教育についての新しいビジョンを達成するためには、教育方法を変える必要があると考えており、現実とビジョンとのギャップを埋めるために、教員自ら専門性を深めつつ、生徒が科学を学習し、楽しみ、評価する様に取り組めるようにすべきとしている。そのためには、教員の個別および集団の要求を支援するための政策とそれを実行するシステムを構築する必要がある。

委員会は、科学教員への投資の重要な場所である学校や地域レベルでの政策作成とその実行を勧告した。地域と学校は、科学教員のための首尾一貫した学習経験コースを設計すべきで、教員の個人的なニーズやコンテキスト特有のニーズを反映する必要がある。それらは教員、教員の職能ネットワーク、高等教育機関、文化施設並びに広く科学界と協力して作り上げるべきである。更には、地域の担当者や校長は教員や生徒の親と連携してそれぞれの学校における科学教員の学習ニーズを特定し、科学教育に関する学校および地域の戦略とリンクした多年度計画を作り上げる必要がある。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]