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- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
- 元記事公開日:
- 2016/04/05
- 抄訳記事公開日:
- 2016/05/11
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安全で、手頃で、クリーンなエネルギーに向けて
- 本文:
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連邦教育研究省(BMBF)は4つの「エネルギー転換に関するコペルニクス・プロジェクト」を選考したことを発表。これに関し概略下記のような報道発表を行った。
BMBFはこれらのプロジェクトにより、今後10年間、アカデミア、産業界、市民社会が共同でエネルギーシステムの転換に必要な技術的、経済的解決策を生み出していく。コペルニクス・プロジェクトの開始に伴い4つの基幹領域におけるエネルギー転換に関する最大の研究イニシアチブが実行される、即ち、電力ネットワークの開発、他のエネルギー源へ転換することによる余剰再生可能エネルギーの貯蔵、不安定なエネルギー供給に対する産業プロセスの新しい方向性、エネルギーシステムの全セクター間の相互交流の向上である。
ヴァンカ大臣談:「経済的繁栄と雇用を損なうことなく、安全で、手頃、且つクリーンなエネルギー供給を実現できることを示していく。2025年までに産業規模で利用可能な、しかも社会的に支持される、新しいエネルギー・コンセプトを軌道に乗せる」。
4つのコペルニクス・プロジェクトは国際的で独立した委員会により提言されたものである。コペルニクス・プロジェクトはアカデミアと産業界において大きな関心をよび、約1,000の研究所が41のプロジェクト提案で公募に参加した。結果230の機関がプロジェクトと取り組んでいる。
選考されたプロジェクト・コンソーシアム:
1. 新ネットワーク構造(テーマ分野No.1):21機関(アーヘン工科大学、カールスルーエ技術研究所、シーメンス社等)が参加するコンソーシアム(ENSURE)で、集中発電及び分散発電による電力のコンビネーションにより、電力変換にかかるコストを削減する、としている。
2. 余剰電力の貯蔵(テーマ分野 No. 2 “Power-to-X“):62機関(アーヘン工科大学、ユーリッヒ研究センター、ドイツ化学技術バイオテクノロジー協会DECHEMA 等)が参加。将来における余剰な再生可能エネルギーの90%以上を化学的原料、ガス燃料、または燃料の形で貯蔵するための産業上の条件を整備する課題と取り組む。
3. 産業プロセス(テーマ分野No. 3):83機関(ダルムシュタット工科大学SynErgieプロジェクト、シュトゥットガルト大学等)が参加。SynErgieプロジェクトはドイツで初めて産業分野横断的に、エネルギー集約的な生産プロセスを不安定なエネルギー供給に対応させることができるのかを実証することになっている。これらの措置により2020年までに産業のエネルギー供給コストを推定で100億ユーロ以上削減できるとされている。しかもCO2排気量を著しく削減できる。
4. システム・インテグレーション(テーマ分野No. 4):IASS(Institute for Advanced Sustainability Sudies)の下システム・インテグレーションのための「ENaviプロジェクト」と64機関が取り組む。Enaviはエネルギー転換を社会的な変革プロセスと捉えている。その過程において同プロジェクトは、将来において可能な限り受け入れられるようにエネルギー転換を前進させために貢献する。そこでは様々な知見が見込まれ、これによって様々な技術の市場ポテンシャルが期待される。この4コンソーシアムは今年中に研究プロジェクトを開始する。全体で3フェーズ分けられており、2018年までの第一フェーズについてBMBFは最高1億2,000万ユーロを用意する。コペルニクス・プロジェクトでは更に2フェーズ予定されるが、期間は合計で10年までとしている。2025年までに更に2億8,000万ユーロが投入される。
この長期的な計画によりコペルニクス・プロジェクトはこれまでの連邦政府の研究助成を補完する。これらのプロジェクトは当面は幅広い研究基盤でスタートし、2025年までに最も有望なものに焦点を絞ることになる。これによって基礎研究から大規模な応用への架け橋となることを期待している。
[DW編集局]