[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
フランス科学アカデミー
元記事公開日:
2016/05/24
抄訳記事公開日:
2016/06/16

フランスの研究・イノベーションの状況に関して科学アカデミーが懸念表明

Le financement de la recherche n’est pas une variable d’ajustement

本文:

フランス科学アカデミーおよび医学アカデミーは2016年5月24日付で、両アカデミー連名の標記に関する意見書を発表した。意見書の概要は以下のとおり。

科学アカデミーは、すでに2013年12月、2014年10月、2015年6月の3回にわたって、公的研究に割り当てられる予算が目に見えて後退していることに懸念を表明している。科学アカデミーおよび医学アカデミーはこのたび、2016年度の研究・高等教育ミッション予算の2億5,600万ユーロのさらなる削減の発表を聞いて懸念を抱いている。

現在の状況から、両アカデミーは「この削減は公的研究機関に惨憺たる結果をもたらす」と考えている。中でも全体で1億3,400万ユーロの予算停止措置を伴うCEA、CNRS、INRA、INRIA、およびINSERMが最も大きな影響を受ける。これらの研究機関はすでに数年前から予算上の大きな制約に直面している。これらの機関はすでに財政赤字削減政策に深く取り込まれており、国の補助金で賄われる給与等以外の研究予算の先細りを見てきた。

今回の措置の影響はフランスの研究界全体に「自分たちの努力に対する否定」と受け止められ、研究界のモチベーションや、士気、持続効果に対して最も否定的な結果をもたらす。関係する研究機関は、国の競争力、現在および未来の課題への対処能力に必要不可欠な当事者である。このような手荒な不安定化は科学の大きな失速を招く要因となり、若年層にとっては将来に対する自信のさらなる喪失につながる。

すべての先進国、とりわけ最も身近な協力相手・競争相手国において研究・イノベーションの取り組みが激化する時代にあって、上記のような兆候は将来最も大きな損失をもたらすことになる。高い業績を誇る企業にとって、またより一般的には、その生産システム全体にとっての長期的な影響として、フランスの競争力低下が生じることは疑いの余地がない。

経済的に困難な状況から国が脱出できるための方策は、研究支援を減らすことではなく、ハイレベルの研究とそれに由来するイノベーションに賭けることであることを、両アカデミーは強く主張する。

[DW編集局+JSTパリ事務所]