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- 国・地域名:
- 中国
- 元記事の言語:
- 中国語
- 公開機関:
- 国家自然科学基金委員会(NSFC)
- 元記事公開日:
- 2013/09/16
- 抄訳記事公開日:
- 2013/10/08
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中国人研究者、「サイエンス」誌にて科学技術体制改革について論じる
- 本文:
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2013年9月16日付の「国家自然科学基金委員会」ウェブサイトは、大連理工大学管理・経済学部の曹聡博士が政策研究の成果として、「サイエンス」誌に「中国科学技術体制の改革」と題した論文を投稿したことを伝えた。本記事ではその概要をまとめる。
本論文は、中国科学技術体制の管理構造と沿革を分析した上、ミクロ、メゾ、マクロの各視点から、中国の当面の科学技術体制が抱える課題を論じ、政策的提言を挙げている。概要は主に以下の通りである。
・マクロの面では、国家科学教育指導グループと科学技術部が、国務院傘下の各部委(=省庁)、中央政府と地方政府間の調整を充分に果たしていないと指摘。対策として、国務院に科学技術弁公室(=事務局)を設け、科学技術の関係事務を常勤の国家科学顧問に担当させるべきである。
・メゾの面では、各部門所管の科学ファンディング事業に対する国の統一したクオリティ面での管理基準がなく、各事業間の情報交流も欠ける。また、課題評価には、行政官に左右される感情的評価等で公正を欠けた状況もある。これに対して、支援課題の経費・予算の管理及び科学技術評価センター(科学技術部所属)を上述の科学技術弁公室に移管し、同時に、科学技術経費・予算に対する全人代の監督を強化すべきである。
・ミクロの面では、既存の評価制度では、パーフォマンス評価の文化が十分に醸成されず、SCI論文とインパクトファクターを過度に強調し、評価過程の透明性と公正性が不足している問題などがある。対策として、論文の発表数・インパクトファクター評価に代わって、ピアレビュー制度の導入を挙げている。
また著者は、本論文の最後で、科学技術体制運営に関する規則とプロセスの制定は、相応の政府機関に担当させるべきであり、同時に、実施への監督・コントロールおよび調整等を強化しなければならないと提言し、「中国の科学技術体制が直面している課題が長期間にわたって存在してきたため、現状が維持される慣性が依然として大きい」と指摘した。
* 曹聡博士らの当該研究は、中国国家自然科学基金(NSFC)より支援を受けた。
[JST北京事務所]