[本文]
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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)
- 元記事公開日:
- 2016/09/08
- 抄訳記事公開日:
- 2016/10/25
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クリーン電力技術のイノベーション支援と市場化障壁の撤廃
- 本文:
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2016年9月8日付の全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)による標記報道発表の概要は以下のとおりである。
NASEMの最近の報告書では、原子力、炭素の捕捉と貯留、太陽光や風力等再生可能エネルギーなどの「より一層クリーンな」電力技術のイノベーションに対する支援を大幅に強化するよう、議会、連邦および州政府、規制機関に強く要請している。このような技術の一部には、最近コストや価格の低下が見られたり、特定の場所でコスト競争力を有するものもある。しかし、気候変動の最悪の影響のほか公害が原因で起こる喘息や早死になどの人の健康に対する被害に対処するには、これら技術が大規模に市場に浸透していく必要がある。
現在の「より一層クリーンな」電力技術のほとんどはコストが高過ぎて、国際的に高いレベルで採用を達成するには十分機能していない。広範な採用を支援する形でのクリーン電力技術のコスト削減と性能向上を図るには、多くの場合、現行技術の早期改善が必要になる。電力網の設計・運用方法の変革も必要である。報告書では、クリーン発電および電力網(グリッド)技術の性能向上とコスト競争力を強化するイノベーション支援を目的として、連邦・州政府および規制当局がとるべき一定範囲の具体的措置を提言している。
イノベーションはそのプロセスのあらゆる段階において市場での失敗や非市場障壁に阻まれる。報告書ではそれらを克服する方策を次のように特定している。
・概念実証・試験的プロジェクトでは、明確な目的と目標を持つ必要がある。米エネルギー省(DOE)は、セクター特有のロードマップ作成や課題への取り組みのファンディングを活用して、イノベーションの進展を支援する必要がある。
・イノベーションの途中段階は非常に重要であるが、見逃されることが多い。特定の構想は一度実証されれば、実用化に向けて一定範囲のスケールアップ、製造、規制、市場化に向けての販売課題に立ち向かう。中小企業投資企業(SBIC)プログラムでは、このような障壁の克服を支援することが可能である。
・新技術のシミュレーションや試験は、重要な機能である。DOEは、官民のシミュレーション・試験能力を評価して、その欠落個所の特定、そのような欠落部分を埋める能力の形成を支援したりインセンティブを与えるよう主導する必要がある。本報告書ではまた、より一層クリーンなエネルギー技術のイノベーションやその採用の促進に向けて、連邦・州政府が実施すべき追加的措置を特定している。
・汚染の価格設定
・現行の発電技術の向上に向けた技術革新
・送配電システムなど電力インフラの改善
・エネルギーの高効率化
・初期開発のエネルギー技術に対する助成重点 [DW編集局+JSTワシントン事務所]